#作戦10 国語の授業における「話し合い」のテクニック
今回は国語の授業でよく行われる手だてである、「話し合い」活動について考えたいと思います。
「話し合い」とは、講義形式の授業からの脱却、いわゆる「アクティブラーニング」として近年再注目されている授業の一形態ではないでしょうか。
しかし、もちろん今までの授業でも子供が話し合う場面はあったと思います。校種によって軽重がありますが、高校よりも中学校、中学校よりも小学校、というように低年齢になればなるほど多いように感じます。
ただ、この「話し合い」には落とし穴があります。
▲話し合う相手によっては一方的になってしまい、学び合いではなく押し付けになる
・自分の考えや意見を話すことについて、誰しもが得意なわけではありません。知識量、話すことへの自信、気の強さなどがあまりにも違いすぎると、「話し合う」のではなく一方的な意見の押し付けになる危険性があります。
そのため、ともすると片一方だけがたくさん話し、もう一方はだまって聞き役に回ってしまったり、話している方だけがどんどん先に進んでしまったりすることがあります。
これはグルーピングの人数(2,3,4人)や机の配置などの方法で多少は吸収できるところもありますが、それでも配慮すべき課題です。
では、どうすればよいのか。
それは「質問」です。
話し合うのではなく、互いに質問し合うのです。
話し合いと何が違うかというと、質問には技術がいりません。質問項目さえあれば、必ず話し合いが成立します。どちらかが一方的に話すということにならず、力量の差が出ないのです。
そして、問われた方は必ず考えます。自分が知っていることも知らなかったことも、意図したことも意図しなかったことも、問われて自分を振り返ることで、初めて気づくことも多いのです。これがいわゆる「メタ認知」です。自分の学びを、客観視するのです。
問うことで相手の考えを引き出すという手法は、古くは有名なソクラテスの産婆術というのがありました。質問を糸口に会話を続けて、無意識に沈んでいる知を意識の上にのぼらせるのです。
また、もう一つの利点として、他人に問いながら自分に問い返す「自己内対話」が進むことが挙げられます。
例えばAさんが「この文の中で一番伝えたいことは何ですか。」とBさんに質問したとします。すると、Aさんは心の中で「きっと〇〇だろうな。」と相手の返答を予想したり、「自分の文では△△なんだけどな。」と自分の文を振り返ったりします。この自己内対話によって、それぞれが自分のレベルでの思考活動を行うことができます。
さらに、同じ質問を友達と繰り返すことで、友達の考えを知ることができ、話し合いの良さでもある考えの広がりや深まりも生まれます。
いかがだったでしょうか。簡単な手法ですが、これ一つで話し合い活動が、個のレベルに応じたものにガラっと変化します。みなさんも、ぜひお試しください。