けびん先生の作戦

教育再興戦略/教育経済学/edtech けびん先生 @marumo258844532

#作戦5 経産省が教育界への提言

経産省から教育界への提言」

・日本の教育への危機感

経済産業省「未来の教室」と EdTech 研究会が6月に第1次提言を発表しました。

経済産業省
「未来の教室」と EdTech 研究会
第1次提言

http://www.meti.go.jp/press/2018/06/20180625003/20180625003-1.pdf

教育を司る行政機関は、言わずもがな文科省です。

これまでの教育改革も、また歴史的に見ても、文科省(旧 文部省)が日本の教育の根幹をつくりました。

 

しかし、ここにきて経産省(つまりは経済界)から、教育に関しての提言が発表されたのです。その意味は、おそらく「日本の教育への危機感」だと思います。

 

私は官僚ではないので、予想でしかありませんが、他の省庁の仕事に提言する(口を出す)というのは、なかなかないことではないでしょうか。逆を言えば文科省が、意見は言ったとしても、国の経済や防衛や財政などへ提言を出すという話は聞いたことがありません。

 

 ・平成とは失われた20年と経済界の敗北

そこまで強い危機感を抱いた理由は何か。

twitterのTLを見て、思いつくことがありました。

バブル崩壊と失われた20年。そのダメージが結果として平成の象徴となってしまった感が否めません。 

経済界が感じている焦りは、平成という時代への敗北感、危機感。

もしくは新しい時代の巻き返しへの使命感。鼓動。かもしれません。

 

「教育を変えなければ日本の未来はない。」

 

それがこの提言につながったのではないでしょうか。

 

・平成の教育界の評価

ここまでの教育界だって、決して手を抜いていたわけではありません。そう信じたいですし、自分の身の回りを見てもそう思います。

 

OECDの国際学力調査では、子どもも成人も世界トップレベルと評価されているのは、これまでの教育界の努力の結果だと率直に思います。

kevin-t-a-h-r.hatenablog.com

 

 

しかし、経済界としては圧倒的な敗北。

 

このギャップをどう埋めるか。

 

もちろん経済界の敗北といっても、企業の時価総額という指標での話です。一面でしかありません。もちろん人材に敗因があるのか、企業の戦略に敗因があるのか、国の戦略に敗因があるのか、人口や国土の規模の話なのか、地理的要因なのか、国民性なのか、一概には言えません。

 

しかし、人材育成が大事な1ピースなことは疑いようのないことだと思います。

 

・マイナーチェンジとアップデート

私の考えでは、教育界は国際学力調査で子どもも大人も成果を出したのに、経済界として敗北している理由は、社会の構造の変化があると考えています。

 

つまり、教育界は「学力」をつけることを一番の目的として教育を行ってきたが、それが時代の変化で通用しなくなった。

 

戦後~1980年代は、国がカリキュラムを組み、教員は教科教育の指導法を磨き、塾や通信教育や早期教育などの受験産業が伸びてきた。

そして、それが日本の人口ボーナス期とも重なり、経済成長を牽引することができた。

 

でも、その成功モデルを引きずったままバブルが崩壊し、社会は痛みを伴いながらアップデートしていく中で、教育界は暗中模索のまま旧来の教育を続けてきた。

 

確かに、生活科、総合的な学習、道徳教育、外国語教育、ゆとり教育、人権教育、情報教育、国際理解教育、などなど全人的な教育を掲げて〇〇教育を次々に導入した。

 

しかし、マイナーチェンジは行えど、アップデートまでは出来なかった。

 

その結果、ゲームのルールが変わったことに気づかず、ゲームセットしていた。

いくら結果が出たと思っていても、勝負には負けている。

旧来の優秀な人材では、新しい社会を創ることは難しいことの、残酷な真実かもしれません。

これが双方のギャップの正体だと思います。

 

 

・ピンチはチャンス

 

でも、悲観することは全くないと思います。ピンチはチャンスです。

時を同じくして、文科省からも「Society5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会」が公開されました。新しい学習指導要領も告示され、社会の構造の変化を強く意識した内容となっています。

 

教育界も経済界も同じ未来を描くことで、教育改革が効果的に進み教育界もアップデートする。まさに教育再興戦略。そんな可能性を感じる二つの提言です。

 

次回は両者の内容について考えていきたいと思います。