けびん先生の作戦

教育再興戦略/教育経済学/edtech けびん先生 @marumo258844532

#作戦7 教育界の改革者と真夏の大激論会

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 1.スクールプラットフォームとは

www.schoolplatform.org

 

文部科学省の若手官僚が、全国の「改革者」と評される教育長や校長のつながる場をつくろうと2018年3月に始めたものです。

 

発起人や世話人には、大学の先生からメディアで話題の校長などそうそうたるメンバーがそろっており、教育界のオールジャパンとも呼ばれました。

 

今回は9月に行われた「大激論会」に参加してきたので、そこで感じたことを書きたいと思います。

 

 

2.全国の教育課題は様々。自分の自治体は?

 

まずは、参加者の校長・教育長から、課題の発表と議論の方向性についての簡単なプレゼンがあり、その後テーブルごとに議論をするという流れでした。

 

全国から集まった校長、教育長は魅力的な人だらけでした。当たり前かもしれないけど、どの人も熱意に溢れ、改革を模索し、実際に行動に移していました。

 

そして、プレゼンを聞いていると、地方によって課題が違いすぎて、文科省が一つの役所で全体の政策を決める今のシステムは、今後ますます機能しなくなるなと思いました。

 

ある学校では、いかに最先端のテクノロジーを使って、学習者・教員・保護者にとっての学校という存在を変えていくか、を全力で考えている。

 

他方では、過疎化していく地域を再興させるためのコミュニティーとして、学校を中核にし、地域の力を集結させて教育を進める方法を考えている。

 

また、一方では新時代を生きるための学力としての能力開発を重点的に考えている。

 

など、地域性や校種や教育長らの考えによって、向いている方向が違いました。

それは決して悪い意味ではなく、どの人にも共通しているのは「今のままではダメだ。教育を改革しなければいけない」という強い志に突き動かされているもので、どの自治体の取り組みも応援したいと思いました。

 

そして、自分の自治体での課題をもっと深堀りして見つめ直さなければいけないなと思いました。

 

自分は、子どもに最新の情報に触れさせたり、社会の転換点にあることを教えたり、未来について考えたり、今できることを精一杯考えさせたい。そして、遠慮とか、慣例とか、気合と根性とか、年功序列とか、みんな一緒とか、共同幻想とかは、ほどほどに捨てたい。一言でいうとアップデートしたい。と思っていた。

 

けど独りよがりではいけなくて、人の気持ちを動かすには、やっぱり人の気持ちを知らなきゃいけないし、行動で示さなきゃいけないし、会話して納得して仲間を増やさなきゃいけない。

 

そのためには、自治体の目指す方向や保護者の願いを知る必要があると、心から思った。

 

3.教育長が無敵なわけではない

自分が参加したトーキングテーブルのホストは、国の会議にも数多く出席し、メディアでも度々取り上げられている、超有名な教育長でした。

教育長に就任してわずか3年ながら、次々に改革を推し進め、教育界に革命を起こしていると言っても過言ではない人で、たった2分の短いプレゼンを聞いただけでも「この人の話をもっと聞きたい!」と思える人でした。

 

そんな雲の上のような存在の教育長と、大学の先生、研究者、企業の方と学校にAIやテクノロジーの導入を進めるにはどうしたらよいか、どのような未来になるのかを話し合いました。

 

学習者のログを集めて、解析し、フィードバックすることで自己学習力を高めることや、

授業名人と言われる先生の授業をデータ化して解析し、そのスキルを教員研修として継承すること、

脳波の測定を通して、子ども達の授業に対する興味や知的興奮を解析して、授業作りをすること、

 

など、刺激的な話に溢れていました。

教育界の世代交代が進むことはメリットとデメリットがあります。藤原和博氏は「教育界の地盤沈下だ」とその危機感を表し、スキルの継承や地域の教育力を生かした組織つくりを提唱しました。それが今から10年以上前です。私は実際に和田中の校長時代の藤原氏の授業を受け(いま考えると本当にラッキー)その話を聞きましたが、10年後の今もその危機感は同じまま。むしろ現場では、そのひずみが生まれているようにさえ思います。

この圧倒的な不利さを超える鍵が、テクノロジーだと私は思いますし、このテーブルのみなさんも立場は違えど同じく考えていました。

 

しかし、その教育長はどこか悩んでいます。教育長という教育行政のトップであり、先進的な考えをもち、国の教育改革にも意見を述べられるほどの実力があります、それなのに改革を進めるのは難しいと。

 

なぜならば、「現場の中にも反対があるから。」

 

新しいことをしようとすると、これまでのやり方を変えることへの、拒否反応や反発が必ずある。パソコン一つでさえ、覚えるのを嫌がる人もいる世界。大変かもしれないが、そこにかけるコストが、子どもの力になったり業務の効率化につながったり、保護者の願いに叶うものになる可能性が高いのに。それでも、新しい考えを受け入れようとしないことが、心苦しいと。

 

本当に驚いた。予算が足りないとか、技術的に難しいとかではなく、現場の教員の意識が障害だとは。現場の一教員という末端から見て、教育長は何でもできる権力を握っていると思っていたが、最終的に現場に向き合う教員の責任は重いと思った。

 

別な改革者の人も「いくら素晴らしいテクノロジーを入れても、それを使える教員が素晴らしくないと、結局どうしようもない。」と言っていて、現職の教員として参加していてなんだか情けなくなった。

 

もちろん、何でも教育長の言った通りにするのが正しいとは思わないし、今回の教育長の考えに私が賛成なだけと言えばそうなのかもしれない。

でも、反対の理由が変化を嫌うからっていうのは、あまりにお粗末な気がする。

 

4.今すぐ自分ができることを行動し続けるのみ

現場の意識で改革が滞るということを知ると同時に、現場の意識を変えれば改革は進むとも感じた。結局、大切なのは自分が行動することしかない。

人を批判するのではなくその気持ちを想像し、例示と対話で考えをすり合わせ、子どもの未来のために行動に移す。自分の考えを発信する、良くないものは改めて、自分の信じるものを応援する、共に走る。この繰り返しでしか未来は創れない。

 

今回このイベントに参加して、今思い返しても、刺激に溢れた時間だった。

教育界の改革は一歩ずつ進んでいる。

自分にできることを、やろう。