けびん先生の作戦

教育再興戦略/教育経済学/edtech けびん先生 @marumo258844532

#作戦3 OECDから日本の教育への提言

www.oecd.org

1.OECDによる「日本の教育政策」への提言

8月1日に今年の学力テストの結果が公表され、各都道府県や学校、家庭や塾など様々なところで話題がもちきりかと思います。

一方で7月27日にOECDから「日本の教育政策」という提言が発表されました。

今回はこの提言について考えたいと思います。

 

2.OECDと学力テスト

 

 

そもそも日本で全国学力学習状況調査が開始されたのがちょうど10年前。OECDPISA調査の結果を受けて、学力低下論争がマスコミで巻き起こり、日本の教育への危機感が教育関係者を覆いました。そして、全国学力学習状況調査(いわゆる学力テスト)が始まった。

 

学力低下論争の真贋についてや、マスコミの体質と教育界の利権など、詳述は避けますが、

「日本の子供たちの学力は低下している。だから学力テストをして実態を把握し改善すべき」

がここ10年の教育界のスタンダードで、脱ゆとりやおゆとり様などという揶揄の根源です。

 

しかし、学力低下論の前提となったOECDの調査報告によると、一般の思っている日本の学力低下論が正しくないことが分かります。

以下に、簡単に要約します。

 

<結論>

・日本の教育制度は児童生徒と成人の両方において、OECD諸国でトップクラスの高い成績を誇る。

・しかし、経済的、社会人口学的な問題があり、持続可能性が疑問視されている。

・新学習指導要領の改訂の方針は正しいが、本当に実施できるのかが疑問。

 

①教員にさらに体系的な研修が必要になるので、負担が増える。

②大学入試が変わらなければ、指導要領の改訂も意味がなくなる。いわゆる骨抜き。

③教員は長時間労働と責任を負いながら、全人的な教育をしている。

 

<提言>

・幼児期の教育に、もっと公的資金を使うべきだ。

→それが女性の活用につながるはず。日本の女性は、教育レベルが高いが、社会としてジェンダーの不均衡がある。つまり、女性は上質で重要な未活用人材である。

 

・高等教育にもっと資金を使うべきだ。

→高等教育を受けようという成人の割合が先進国中最低レベル。時間的、経済的な制限があるからか。もしくは教育内容と現場で活用する技能との乖離がある。(大学がヨーロッパ型のシステムだからか?学問が文化になっているから?しかし、北欧は職業訓練の専門学校的な意味合いが強いため、そもそも単純比較できない。)

 

・教員の労働環境の是正のため、地域との連携や協働関係が必要。



3.この提言から考えたこと

 

公的資金を注入する優先順位は、幼児教育が先だろう。

 

なぜならば、限られた資本を振り分ける必要があるので、もっとも費用対効果が大きいところから始めるのがベターだ。教育投資とその効果については、幼児教育が一番効果的だということが教育経済学で明らかになっている。

 

そのため、優先順位としては幼児教育で、その後高等教育ではないか。さらに、幼児教育への投資が促進されれば、女性の社会進出も進む

 

高等教育は、オンラインサロンでよいのではないか?むしろ、高等教育というよりは、文化の発展=大人の遊び(趣味)でよいのではないか。

 

②地域社会との連携は大事である。しかし、現状は地域と連携するとは言いながら、付き合いで教員(しかも若手)が休日に借り出されていて、パトロールをしたり、地域行事に出ていて、残業の延長になっている。

地域との関係づくりが、せまいムラ社会の共同体作りでは意味がない。

・PTA活動もそれに強制性や同調圧力が生まれると、働く女性の妨げにしかならず、女性の社会進出の流れに逆行する。だからPTA反対の声も根強い。

 

4.今後に向けて

 となると、残るはテクノロジーだ。機械ならば空気も読まない。気も遣わない。時間もいとわない。そして限界費用も下がる。財政の問題を超え、労働環境を変える、やるかやらないかは意識次第だ。