#作戦2 プログラミング教育?ICT導入はなぜ進まない?
1.本当に始めるのプログラミング教育?
学校ではプログラミング教育を導入し、未来を生きる子供たちにICTリテラシーを身に付けさせようと、新学習指導要領に盛り込まれた。
今回の学習指導要領の改訂で、道徳や外国語が教科になったことと合わせて、世間の注目の一つになっている。現に保護者も「先生方は大変ですね。」と気遣って下さったり、「教科になると何が変わるのですか?」と聞かれたりと、関心を持っていることがわかる。
しかし、現場ではプログラミング教育について戦々恐々である。
それもそのはず、多くの学校現場では未だにパソコンは仕事の中心となる道具ではないのだ。
私はそれを批判や否定しているわけではなく、その状態でプログラミングを教えなさいというのが、なかなか酷な話だと思うのだ。
環境としても、教員一人に1台PCがあるのがギリギリで、OSもwin8でソフトウェアも旧型だなんて当然だ。パソコン室のたった40台のパソコンを1000人で共有する学校もある。
もちろんwifiはとんでいないので、有線LANの届く範囲でしかノートパソコンは使えない。一人に1本LANケーブルがないことがあった。
「学校に登校することは、まるでタイムスリップすること」
という表現が正しい。
余裕で10年前の設備で頑張っているのだ。
ここで疑問が生まれた。
「なんでこんなに遅れているの(汗)?」
これを考えてみる。
2.学校のICT化が遅れている理由
①導入コスト
学校はとにかくお金がない。切ない。
自治体によってかなり差があるが、具体的にいうと
「カラーコピーに枚数制限がある。」←データなら印刷しなくていいのに
「場合によっては、白黒コピーも枚数制限がある。というか裏紙印刷推奨」←データ化すれば無料なのに
「外部講師の方に出す謝礼は基本的には給食とお茶」←無料のyoutube様様
「校舎も教具も教材も、壊れたら基本的には自分で直す。業者は呼べない。お金がかかるから。」
そこにICT化を、と言ってパソコンを一人1台導入したり、タブレット一人1台導入するのは、夢のまた夢であることは想像に難くない。
人命に関わるブロック塀やエアコン設置も難しいわけだから、デジタル機器の優先順位は下がるのだろう。
今思いつく解決策は3つ。
1.研究指定
国の補助を受けるというやつですね。研究指定を受ければ、大きな予算がつき、環境面では一気に改善する。小金井市立前原小学校が良い例。
国も導入のために頑張っていて、全国でも何校か研究指定を受けているが、いかんせん学校の母数が多いので、遍く行きわたっているとまでは言えない。
2.企業と連携する
子どもたちの教育のため、未来のために何かをしたいと考えている企業の方はたくさんいる。CSRの一環だという見方もできる。そこで、企業と連携しつつICTインフラを整える。
学校は公的機関なので、広告として使いにくいところもあるが、それに見合う以上の教育的効果があるとすれば、あとは行政の決断のみ。実際に、マイクロソフトと連携してクラウドシステムを導入した熊本市が良い例である。
3.個人のものを使う
これは受益者負担の考え方で、私立の学校で多い例だろう。
また、高校生ぐらいになると、一人一台スマホを持つ子が圧倒的に多いため、公立でも高校でこの仕組みを導入する例は多い。藤原和博氏が校長として改革した一条高校も当てはまる。これだけスマートフォンが普及している世の中なので、導入コストや管理コストを最小限で考えられる。また、減価償却費も基本的にはあまり気にしない。
懸念することは家庭による経済力もしくは考え方の差が、そのまま子どもの教育の差になってしまうことだ。特に小学生では家庭の考え方に差が大きく、スマホのシェアも地域差や家庭差が大きい。シェアリングエコノミーで余ったリソースを回す形で解決できないだろうか。
②学校現場や行政が、そもそもICTに明るくない
もちろん全ての人がというわけではないが、
未だにFAXは現役で活躍中。
電子メールに添付ファイルは難易度高め。
パソコンにはテンプレで一太郎や関連ソフトが中心に入っている。
困ったらとりあえず再起動。
という方が多数。
そして、ケータイ=スマホ=おもちゃという風潮が強い。
その中で新しい道具の使い方を一から覚えて、今までのやり方を変え、教育的効果が確率されていない物に、時間と手間をかける。という考えにはなかなかならないのだろう。
世代間の意識の差もかなり大きい。
そして、導入の決定権をもつのは年齢が上の世代であるところが、この問題をさらに難しくしている。
考えられる解決策としては、
①対話。②対話。③対話。
とにかく、対話。
導入することでいかに仕事がはかどるか、そしていかに子供のためになるのか、具体的な例示をしながら地道に対話することだろう。
同じ志を持つ人から普及し、なんだか便利そう・・・という空気を作ってからだと話を進めやすいかもしれない。
もしくは年配世代でも、新しい道具が好きな人や学ぶ姿勢を持つ先生は必ずいるので、そういう先生と仲良くなり、徐々に普及していく。
3.まとめ
現場の個人レベルでできることと、学校単位、自治体単位、国単位でやることと可能性は様々ある。一番簡単で、すぐできることは、自分がまず行動すること、そして仲間を増やすことが一番地道だけど、近道かもしれない。